関東地区自然保護交流会

関東地区自然保護交流会

第7回関東地区自然保護交流会(報告)
期日 平成30年8月25日~26日
場所 雲取山(鴨沢・小袖~奥多摩小屋~雲取山荘)
参加 25名(東京5、栃木8、埼玉8、神奈川2、長野2)
概要
 平成30年8月25日~26日(一泊二日)、奥多摩・雲取山(雲取山荘泊)にて、5都県から26名を集め、第7回関東地区自然保護交流会を、(公社)東京都山岳連盟自然保護委員会の主管で開催したので報告する。
この交流会は地区各都県を持ち回りに、その地区毎の山岳環境をテーマに交流を行うものとして実施しているもので、今回は「奥多摩町営小屋の閉鎖」及び小屋周辺の環境状況について現地視察、雲取山荘では飯田雅彦(元埼玉県警山岳救助隊副隊長)氏と新井晃一(雲取山荘主人)氏の講話を拝聴した、一昨年も同じ目的で計画したが、荒天のため入山を断念した経緯がある。

 朝8時を少し回って、麓の小袖乗越駐車場に集合、ブリーフィングのあと奥多摩小屋へ向かって出発。汗まみれのなか予定の13:00頃には五十人平(標高1750m付近)のお花畑を見て、嘗ては見事なヤナギランの群生があったといわれるお花畑がシカの不嗜好種のマルバダケブキに主役が交代してしまっている様子を実感し、稜線の山梨県側の天場を見つつ、奥多摩小屋へと到着、小屋やトイレの様子を見学。赤い字の「閉鎖」と太文字書きされ、「平成31年3月31日以降は、テント泊及びトイレも利用できなくなります」と添えられた告知ビラが貼られた玄関口をくぐる。暗い室内で細かくは見ることができなったが、壁面などが簡易補修されて老朽感が感じられた。トイレは昔ながらの「ボットン式」で異臭を放っており、好んで利用されるとは思えない様子であった。1時間近く見学してから、頂上へ出発。
30分ほどで雲取山山頂(2017.1m)へ、15:00過ぎには雲取山荘へ辿り着いた。山荘の部屋に入り、16:00少し後から1時間30分ほど飯田雅彦氏に前職埼玉県警山岳救助隊の経験を踏まえた山岳遭難事故について講話を、夕食を挟んで、新井晃一氏から1時間ほど奥多摩山荘の閉鎖経緯と今後の状況について講話を伺った。
 
(飯田雅彦氏講話要約)
 現職であった頃からの経験を通し、山岳救助は山登りの危険以上の危険が伴うものであると思っている。配下の隊員が出動する度に、心痛な思いで無事帰還を願い続けている。山登りの際には絶対に事故を起こさないとの気持ちを心がけるようお願いしたい。埼玉県の救助体制ではあるが、警察32人に消防(ヘリ隊員)2名、航空ヘリでは警察(捜索)3機、消防(搬送)3機の体制で行っている。県内の山岳遭難事故は毎年60件以上起きており、死亡が年毎に5~10人となっている。雲取山周辺でも、白岩山などで25~70歳台のヘリ救助が起きている。熟達者であっても遭難しないという訳でなく、ヒューマンエラーが多くの原因となっていることが明らかである。最近の携帯電話の普及が遭難救助の位置探査に役立っており、通話の発信源を通信基地局から割り出すことも行っている。
(新井晃一氏講話要約)
 昭和34年に建設された奥多摩小屋は奥多摩町の所有で、前任の管理が途中から引き継がれ、現在では雲取山荘が管理を行っている。小屋番は雲取山荘の従業員を配置している。
水面下で、数年前から小屋の閉鎖・廃止に向けた準備が進められてきて、今年の3月に奥多摩町から閉鎖を告知した。これ先立って、昨年秋頃に東京都山岳連盟から「小屋存続に向けた」署名運動が始まり、関係行政機関の調整が進み、「閉鎖」が決まり、閉鎖以降については、環境省奥多摩自然保護官事務所、東京都環境局・多摩環境事務所、東京都水道局等と協議を行い決定することとなった。東京都では来年度、「存続に向けた調査費」の予算付けが行われこともあって、最低限キャンプ場及び管理棟の設置が予想される。一旦、「閉鎖」とはなるが、先々「存続に向けた」希望が払拭されたわけではない。雲取山荘も管理者としての立場を守り、「存続に向けた」検討を進めてゆきたい。
 
 翌朝、雲取山頂でティータイム、記念写真を撮影し、快晴のなか、富士山などの眼前に広がる遠景を眺めながらの下山を開始し、12時には麓の鴨沢・小袖駐車場へ到着した。奥多摩もえぎの湯で汗流した後、奥多摩ビジターセンターで今回の交流会の「ふりかえり」ミーティングを行い、奥多摩山荘の閉鎖・存続に向けた経緯について主管岳連からまとめの発言を皮切りに、参加メンバーの一人一人から意見や感想を述べ、交流会のスケジュールを締めくくった。
  流会の当初目的は奥多摩町営小屋の「閉鎖」の現状を見ることであったが、雲取山荘での講話からその「存続に向けた胎動」を感じさせるものとなった。東京都にある山岳の最高峰として、またその標高にあやかった2017ブームも手伝って人気急上昇の山である雲取山への登山の要衝として、奥多摩町営小屋とそのテント場の存続は重要であることを実感させられるものとなった。登山安全や自然環境問題を含め、雲取山地域で起きている登山の諸事情について、情報の共有をし合う交流会となった。
第7回関東地区自然保護交流会
交流会へ参加のメンバー

マルバタケブキが生い茂る五十人平の草原

五十人平のキャンプサイト

奥多摩小屋

奥多摩小屋のトイレ

奥多摩小屋の閉鎖を告げるビラ
                            (写真提供:小林氏)
 

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