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山岳

警察庁情報

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警察庁生活安全局地域課が令和5年6月13日に発表した「令和5年夏季における山岳遭難の概況」のなかで、「過去5年間の夏期における山岳遭難発生状況をみると、発生件数及び遭難者数ともに、令和2年は前年比で減少したが、令和3年以降は増加傾向にある。」とし、「山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足等が原因で発生している」との分析から、次の5項目を指摘している。(何れも、「令和5年夏期における山岳遭難の概況(R5.9.13)」から転載)

的確な登山計画と万全な装備品等の準備

 気象条件や体力、技術、経験、体調等に見合った山を選択し、休憩時間を確保した余裕のある登山日程、携行する装備、食料等に配意し、安全な登山計画を立てる。
 登山計画を立てるときは、滑落等の危険箇所や、トラブル発生時に途中から下山できるルート(エスケープルート)等を事前に把握する。
 また、常に最新の気象情報を把握するとともに、登山予定の山の気候に合った服装や登山靴、ヘルメット、雨具(レインウェア)、ツェルト(簡易テント)、地図(登山地図アプリを含む。)、コンパス、行動食等登山に必要な装備品や、万一遭難した際に助けを呼ぶための連絡用通信機器(携帯電話、無線機、予備バッテリー等)を準備するなど、装備を万全に整える。
 GPS機能付きの携帯電話等は、自分の現在地をより速やかに救援機関に伝えることができるなど、救助要請手段として有効であるものの、多くの山岳では通話エリアが限られることやバッテリーの残量に注意する必要がある。
 なお、単独登山は、トラブル発生時の対処がグループ登山に比べて困難になることが多いことを念頭に、信頼できるリーダーを中心とした複数人による登山に努める。

登山計画書・登山届の提出険箇所の把握

 登山計画書・登山届は、家族や職場等と共有しておくことにより、万一の場合の素早い捜索救助の手掛かりとなるほか、計画に不備がないか事前に確認するものであることを認識する。また、作成した登山計画書・登山届は、一緒に登山する仲間、家族や職場等と共有するとともに、登山口の登山届ポスト、都道府県警察、自治体などに提出する。

道迷い防止

 地図の見方やコンパスの活用方法を習得し、登山には地図やコンパス等を携行して、常に自分の位置を確認するよう心掛ける。
 なお、登山地図アプリと紙の地図を併用することで、より正確な位置を把握することができるため、道迷いの防止につながる。

滑落・転落防止

 日頃から手入れされた登山靴やピッケル、アイゼン、ストック等の装備を登山の状況に応じて的確に使いこなすとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心掛ける。
 また、滑落・転落する恐れがある場所を通過するときは、滑落・転落や上方か
らの落石に備え、必ずヘルメットを着用する。

的確な状況判断

 霧(ガス)や吹雪等による視界不良や体調不良時等には、道に迷ったり、冷静さを失い、滑落等の危険が高まることから、「道に迷ったかも。」と思ったら、闇雲に進むことなく、今歩いて来た道(トレース)を辿り、正規の登山道まで引き返すなど、状況を的確に判断するとともに、早めに登山を中止するよう努める

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